方向性の整理
ギターでモジュラーを操作すること自体が目的ではない。ギター、モジュラー、音源のどれも全体を支配せず、互いの条件だけを少しずつ変え合う循環を作りたいのである。
ギターからA-119でエンベロープCVを取り出し、それがCompare 2を介してOrbitの観測条件を変え、その結果としてOrganelleやKastle ARP、A-152の発音を制御することはできた。ただし現状ではまだ配線が一方向である。
ギターがモジュラーへ影響を与え、モジュラーが電子音を生成する。しかし電子系の状態は、まだギターそのものには十分戻ってこない。そこでMOODやKastle FX Wizardを試している。目的はエフェクトを増やすことではない。モジュラーで生成されたCVによってギターの音高や音色を変え、その変化したギターが再びA-119へ戻ることである。
だが本当にこのようなリテラルな関係が面白いのかはわからない。いまの状態ですでにギターの演奏にも影響は跳ね返ってきている。ギターのボディに少し触れただけでも何かが変わるのだから。機械的な接続にこだわることで、むしろ関係が貧しくなる危険もある。
いずれにせよ、ギターがモジュラーを演奏し、そのモジュラーがまたギターを演奏する。互いに邪魔をする。どちらも相手を支配しない。音、電圧、判断が循環し続け、どこにも全体を見渡す指揮者がいない状態を作りたい。
これはNight Snailでやっていることと同じである。Night Snailでも、プレイヤーの移動、停止、被弾、花の取得、滞在といった行為が音や言葉の条件を変えるが、プレイヤーが直接それらを作曲したり文章を書いたりするわけではない。ゲームの進行、音響、言葉がそれぞれ別の規則を持ち、そのズレたまま関係している。
そのため、音楽とゲームのルールをあえて一致させない。うまく操作したら正しい音が鳴る、ということではない。プレイヤーはゲームを進めるが、音楽は別の時間で動く。その音楽がまたゲームの感じ方を変え、ゲームの出来事が言葉の生成条件を変える。どれかが上位に立つことはない。
ゲームでも音響でも、やりたいことは同じである。作品をこちらから一方的に制御するのではなく、複数の規則や主体が互いを少しずつ変えながら、結果を決定しきれない状態を作ること。広い意味で、閉じたフィードバック系をつくること。