高木覚書

A152経由でARPを改造する

今日はA-152を使って、Kastle ARPの音数を減らしながら、鳴る音程の種類を増やす方法を試した。ARPはNOTE MODとCHORDへ入る電圧が変わることで音程を生成する。ARPは最高のメロディー生成機だが、基本的に規則的に鳴る。沈黙は長め、数音だけポツポツ現れ、かつその数音の内部ではなるべく異なる音程が鳴るようにしたい。

まず0-COASTのSLOPEをCYCLEさせ、EOCをJam Jamで間引いてから、A-152のCOMMON SWITCHへ入力した。A-152のSW出力をARPへ送れば、選択されているチャンネルにだけパルスが流れる。しかし実際に試すと、低音が反復するだけだった。まあベースっぽく使えなくもなさそう。SWは入力された信号をそのまま通すので、ARPへ届くのは毎回ほとんど同じ高さの短いパルスです、とGPTはいう。本当かな。頼りにしたいところだが、こいつは実際は何にもわかないので信用しない。まあとにかくこれでは発音密度は減らせても、音程の情報が増えない。

次にA-152のDIGITAL OUTをARPへ送った。こちらではチャンネル1と2が切り替わるたびに電圧がHighとLowの間を移動するため、NOTE MODとCHORDの状態も変わり、アルペジオが発生した。SWより明らかに音数のバリエーションが増えた。ただし、チャンネルの切り替わりそのものが必ず発音の契機になる。つまりオフになった瞬間も音が鳴るのだ。これは少し意図と違う。だがこれはこれでなにかしら使えそうな技法でもある。

T&H出力というものの意味がわからなかったがとりあえず試した。しかしそもそもCOMMON T&Hへ何も入れていなかったため最初は無音だった。なんじゃこりゃと思ったが、何も入力されていないのだからこれは当然のことだった。そこでOrbit 3の出力をO/A/x2で減衰、オフセットしてから、A-152のCOMMON T&Hへ入力した。T&H出力をARPの外部入出力へ送り、そこからNOTE MODとCHORDへ接続すると、それっぽいアルペジオが鳴った。

A-152のT&Hは、選択されているチャンネルではOrbitの電圧を追いかけ、別のチャンネルへ切り替わると、その直前の電圧を保持する。ARPが担当するチャンネルを選択している間だけOrbitのカオス電圧がNOTE MODとCHORDを動かし、クオンタイズされた音程の境界を横切るたびに新しい音が鳴る。選択を外れると電圧が止まり、音程変化も止まるため、残った音が減衰したあとは無音になる。しかもこのやり方だと、音声ではなく電圧の流れの切り替えなので、スイッチング時のクリックが鳴らない。

SWでは密度は減ったが低音の反復になり、DIGでは音程は増えたが切り替わり時に必ず鳴ってしまう。OrbitをCOMMON T&Hへ入れた構成では、A-152がARPの活動期間を決め、その期間の内部ではOrbitが音程を生成する。基本的には黙っていて、時々調子外れな音を出すおだやかな変人、という演奏家に近づいた。ARPとALCHEMISTをスイッチングしながら、単音の混ざり具合を確かめる。変な和声感。悪くない。フィーリング的に、フェルドマンやヴェーベルンのような感じにしたいのだ。