SP-404MKIIをA-192-2から演奏する仕組み
SP-404MKIIをA-192-2から演奏する仕組みを整理する。
① A-192-2は、CVNへ入った連続的な電圧を1V/octのMIDI Noteへ変換する。
② SP-404MKIIは、そのMIDI NoteがPAD番号へと読み替えられる。鍵盤のようにピッチに変換されるのでなく、割り当てられたPADのサンプルが鳴る。
②-1 Mode Aなら1つのMIDIチャンネルにつき16PAD、Mode Bなら1チャンネルでA〜Eの80PADを扱える。A-192-2はサンプルの入っているPADだけを選んでいるわけではなく、16あるいは80のPAD位置全体のどこかを指定する。その場所が空なら何も鳴らない。
②-2 Mode BではNote offsetも調整する。A-192-2は初期設定では0VをNote 36に変換する。一方SPのMode Bは本来A13をNote 12としているため、offset 0のままだとAバンク全体とBバンク前半は選択の対象から外れる。80個すべてのPADを選択可能にするには、Note offset = 24にしてA13をNote 36へ移動し、A-192-2の0Vから約6.58VまでをA〜Eの80PAD全体に対応させる必要がある。
③ A-192-2の源流であるOrbitの電圧についても注意が必要だ。Orbitの出力はバイポーラなので、そのままA-192-2へ送ると負電圧部分がCVNの規定範囲から外れる。A-192-2のCVNの規定入力範囲は0~+10Vである。負電圧側がどのように処理されているのかは不明。
④ なのでO/A/x2でorbitの振幅を縮め、Offsetで全体を正側へ移動することで、電圧の運動をMIDI Noteの範囲へ収める。
⑤ ところでこれがOrganelleになるとまた事情が違う。SPではMIDI NoteとPADの対応があらかじめ決められているが、Organelleでは受信したMIDI Noteを現在のpatchがどう解釈するかによって結果が変わる。spとは異なり、patchをまたがって演奏することは基本的にはできない。
◯感想 ゲームではコードによって条件分岐や状態遷移を書く。こちらではそれを、電圧、Gate、Comparator、Switch、MIDI変換、機材ごとの処理規則によって組んでいる。違うのは、条件がコードの中に隠れているのではなく、ケーブルやノブや電圧として物理的に存在していることだ。ノブを少し回すことで条件の境界そのものが動く。ケーブルを差し替えれば処理の構造自体が変わる。こちらでやっていることは、身体的なプログラミングともいえる。
そしてこれはNight Snailでやっていたことともよく似ている。
Night Snailでは、ゲーム攻略、音響、詩作という異なるルールをあえて一致させず、一つの行動がそれぞれ別の規則によって解釈されるようにした。ゲームとして正しい行動が、音楽的にも詩的にも正しいとは限らない。その齟齬から、その回だけの出来事が生まれる。
今回の音響システムでも同じことをしている。Orbitの力学、アナログ電圧、Gateのタイミング、A-192-2のMIDI変換、SPのPAD配置、Organelleのpatch。それぞれが別々の規則を持ち、前段から来た情報を少しずつ別の意味へ翻訳する。
いずれにしろこう言える。複数のルールがあり、その齟齬から何かを生み出そうとしている。各層を完全に同期させるのではなく、関係は持たせるが一致させないということ。